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金閣寺 (新潮文庫) [文庫]
三島 由紀夫 (著)


表紙の炎上絵、美しいながらもインパクトがありますね。
震災での火災を思い出す事もあり今回、文字リンクのみにしました。

三島由紀夫文学館HPから 作品紹介
炎がデザイン化された初版本の表紙が、私には親しみやすいように感じます。

本書を最初に読んだ記憶は、かなり以前のものでした。
放火犯の心理をテーマに据えた犯罪小説ではありますが、当時の対人的な悩みが読むことで幾分か救われた思いがしたものです。

最近、三島映画祭上映の告知から、書棚にあった『金閣寺』を読み返しています。
本書を映画化した『炎上』は、先日レンタルDVDを鑑賞しました。今回の上映では観られないかもしれません。

映画と比較して、映画は巨匠による大作ながらも書籍のほうがストーリーに陰影と深みのある印象です。地デジTV購入後の鑑賞でしたがモノクロなので、細部に見づらい部分が多々ありました。

主人公溝口の最期も、護送されて鉄道から飛び降りて死んでしまうところが、大いに不満だったり。若きスター市川雷蔵は、いくら吃音の設定でも生年らしい純粋さが際立つ申し分ないキャラクターでした。

親友の鶴川の台詞も、口調が上滑りして軽くなっていて残念でした。
大学の学友である柏木(映画では戸刈)は、原作通りのシニカルな性格や言葉の鋭さが表現されていたように思います。現在の仲代達矢と同一人物と思えず、若手俳優と代わらぬ秀逸な演技でした。
柏木の障害である内翻足の動きに関して、(本当に不謹慎ですが)どう演ずるか興味深々でしたが、全く本質に迫る巧みな動きのように感じました。

遊郭の女性を演ずる中村玉緒の若かりし姿、見られて予想外の幸運でした。(原作では玉緒さんより蓮っ葉で軽い印象です。)
物語に登場する女性は、当然ながら演じる女優によって左右されるので、
三島の表現する美に叶う人物を体現するのは、いくらベテランでも難しいのかもしれません。

映画での逮捕後の展開はどうも付け足しのようで、やはり、主人公には原作通り、しぶとく生き残っていて欲しかったです。溝口青年は自分にとって極限の美を燃やして父親からの束縛の元も解消する事で、俗に環ったところがあるのでしょうか。


三島映画祭は、角川シネマ有楽町にて6/3まで上映中です。
http://www.kadokawa-cinema.jp/yurakucho/




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ありがとうございます。
本書のあとがきにある、「人と文学」「金閣寺について」「年譜」を今回珍しく熟読しています。購入年である十年前よりも作家個人に興味を持って来ているのかもしれません。三島由紀夫というと、どうしても美輪明宏さんのように華やかな交遊関係に想いが行ってしまいますが、父親が上級公務員で祖父も県知事・官庁長官であったと知ると、また別な見地からオーソドックスな三島像を眺める楽しみも味わえます。


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