こだわりの映像作品(DVD、劇場映画、TV等)についての感想や日常雑記です。
テレグラム(時事、日常雑記、たまに映画エンタメ)
https://t.me/kuronekotsuushin
チャット版 https://t.me/+dYbb-75J8hMxNGU1
ネットショップ https://suzuri.jp/TIMES49662540
あなたがここにいて欲しい (角川文庫) [文庫]
中村 航 (著)
文庫: 237ページ
出版社: 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010/1/23)
発売日: 2010/1/23
書店で平積みされているのを短時間に買い急いだのに、後々まで味わい深くゆっくり楽しめる本でした。表紙はこちらと異なり、海中を表わすデザインのカヴァーが付いてました。
失礼ながらほんの偶然から手にした中村航さんの著書は、これが初読です。今後もずっと愛読していきたい作家さんです。
幼稚園から親しんでいる動物園のゾウや同級生との思い出、現在の恋愛相手とのやりとりを不器用に感性深く語る表題作『あなたがここにいて欲しい』、男子特有の趣味遍歴とブリティッシュ・ポップな同級生の愛読書について語る『男子五編』、都会の片隅で、雑貨店に勤める女性が、公園ののら猫と猫に餌をやる風変わりな男性とのユーモラスな手紙交換を語る『ハミングライフ』の3作品が収録されている短編集です。
猫好きなので、ラストの『ハミングライフ』を真っ先に読んでしまいましたが(笑)、鬱屈した高校時代の思い出の印象の強い『あなたがここにいて欲しい』が最も記憶に残る作品になりました。語り口は穏やかながら、自分自身にも共通するのですが非常に鋭い五感を持っている方だなという感じを持っています。
表題作に登場するPink Floydの名曲です。動画でドウゾ。
Wish you were here
Have a cigar
Shine On You Crazy Diamond
クラシック・ロック&プログレ好きとしては、読書をきっかけに久々に旧作を堪能できたのが何よりでした。
小説と好きな音楽が繋がっていると、嬉しさもひとしおなんですよね。
ブログ村、人気ブログランキング、blogramランキングに参加しています。
よろしければ一日一回のクリックをお願いしますm(__)m
ありがとうございます。
自分の好む音楽にまつわる小話を、プロ作家に習って創作してみたいと思うのですが、これが結構難しいもので、なかなか書けません。上で挙げたPink Floydのように貫禄のある曲ならそれにふさわしい形でというのも、ありますね。
そのうち、いい作品ができたらこの場で披露してみたいと思っています。
PR
家守綺譚 [単行本]
梨木 香歩 (著)
出版社: 新潮社
発売日: 2004/01
以前なくしていた『家守綺譚』が自室書棚の奥から見つかりました、嬉しい〜
以前探しても見つからなかったのにある日突然出てきたので、誠にこの本に似つかわしい出現という感じでした。
他のAmazonレビュアーの方の投稿にもある坂田靖子の「村野」などの短篇や、今市子の「百鬼夜行抄」同様、長く愛読書として保存したい本です。
登場する『物の怪』、は上記二書よりもふだん着を纏っていて、今ここに現れても不自然ではないのですよね。
私のトップ3はサルスベリ、小鬼、狸和尚でしょうか。
犬のゴローも入れたいけど、この世の動物ですからね。
大正から昭和初期くらいの独身男性の長閑な日常を描いていて、これといって読み辛い記述はないですが、唯一ダァリヤの君の亡くなった友人の話(サザンカ)はうっすら寂しさが漂っていました。川を遡る小舟の記述は、今市子さんの漫画にも有りそうな描写だと思いました。
日本古来の伝統的な家屋の、ちょっと変わった日常を描く物語、何度読み返しても飽きが来ません。さらに続編も期待したいところです。
ブックマークのヒデヨシ映画日記にも本書の感想が載ってます。
本選びでも抜群の才をみせるヒデヨシさんの書評もどうぞ。
ブログ村、人気ブログランキング、blogramランキングに参加しています。
よろしければ一日一回のクリックをお願いしますm(__)m
ありがとうございます。
上記の本は現在文庫版が出ているので、そちらを読まれる方が多いかもしれません。少し高いですが単行本も装丁に味わいがありますので、よろしければ手に取ってみてください。
梨木さん、本書のような懐かしい雰囲気の随筆風作品をもっと書いて頂きたいです。
家守綺譚 [単行本]
梨木 香歩 (著)
出版社: 新潮社
発売日: 2004/01
以前なくしていた『家守綺譚』が自室書棚の奥から見つかりました、嬉しい〜
以前探しても見つからなかったのにある日突然出てきたので、誠にこの本に似つかわしい出現という感じでした。
他のAmazonレビュアーの方の投稿にもある坂田靖子の「村野」などの短篇や、今市子の「百鬼夜行抄」同様、長く愛読書として保存したい本です。
登場する『物の怪』、は上記二書よりもふだん着を纏っていて、今ここに現れても不自然ではないのですよね。
私のトップ3はサルスベリ、小鬼、狸和尚でしょうか。
犬のゴローも入れたいけど、この世の動物ですからね。
大正から昭和初期くらいの独身男性の長閑な日常を描いていて、これといって読み辛い記述はないですが、唯一ダァリヤの君の亡くなった友人の話(サザンカ)はうっすら寂しさが漂っていました。川を遡る小舟の記述は、今市子さんの漫画にも有りそうな描写だと思いました。
日本古来の伝統的な家屋の、ちょっと変わった日常を描く物語、何度読み返しても飽きが来ません。さらに続編も期待したいところです。
ブックマークのヒデヨシ映画日記にも本書の感想が載ってます。
本選びでも抜群の才をみせるヒデヨシさんの書評もどうぞ。
ブログ村、人気ブログランキング、blogramランキングに参加しています。
よろしければ一日一回のクリックをお願いしますm(__)m
ありがとうございます。
上記の本は現在文庫版が出ているので、そちらを読まれる方が多いかもしれません。少し高いですが単行本も装丁に味わいがありますので、よろしければ手に取ってみてください。
梨木さん、本書のような懐かしい雰囲気の随筆風作品をもっと書いて頂きたいです。
以前の回で短編『愛の手紙』について書きましたので、今度は次に興味を惹いた三編をお薦め順に。
『大胆不敵な気球乗り』
ストーリー:
サンフランシスコ沿岸のマーチン郡に住むチャールズ・バーグは、ある日空を舞う鷹を見上げて、気球で空を上昇したいという強烈な感情のとりこになってしまった。百科事典にある気球の項目を読み、構造や操縦法を理解した。買ってきた布と身近な素材で気球を作り、湾岸を上昇する。降りるとき犬を散歩させていた近所のレニダス夫人に出くわすが、次回飛行する時に、彼女に懇願されて、夜間の気球飛行を一緒に楽しむようになる。
感想:
読後、映画『メアリー・ポピンズ』や、他の気球が出てくる作品を思い出してしまいました。
著者は勿論気球について入念に調べた上で、この短編を書いたのでしょうけど、本当にこのような飛行が可能なのか信じられません。うだつのあがらない主人公の男性の願望のような、幻想に満ちた作品に仕上がっています。
大人に童話めいた話を読み聞かせするのは躊躇しますが、悩める人の枕元で聞かせたいような…。
『おい、こっちをむけ!』
ストーリー:
サンフランシスコの新聞社で書評を担当しているピーター・マークス。彼は友人の売れない作家マックス・キンジェリーがもう亡くなっているのに、ミル・ヴァレーの街中を歩いているのを目撃していた。その時彼はイニシャルがついた派手なムギワラ帽子をかぶっていた。その後妻を伴って、再び彼を目撃した時の服装は、同じイニシャルがついた派手な上衣だった。町の人々もまた彼を目撃していた。
ピーターは、かつてマックスが住んでいた家に行ってみた。書きかけの古いタイプ用紙を見つけた彼は、妻と出かけたドライブの途中、大きく岩肌に書かれた彼のイニシャルを発見する。これは死んだマックスが、世間の目を向けさせるために、沈黙の叫び(「おい、こっちをむけ!」)をあげているのだと彼は思った。
その年の春にふたたび訪れた彼の墓に、すばらしい花崗岩の墓石が立っているのを見つける。表面には、マックス・キンジェリーと深く刻まれていた。墓地を出たところの仕事場にいた石工は、彼に頼まれたと告げ、請求書を差し出した。
感想:
本書で最も怪談の色彩が強い短編でした。
死者に出逢う恐怖感は、「ねじの回転」のヘンリー・ジェイムズに匹敵するかもしれません。この手の話を好む読書家なら、もっと比較に適した作家が該当するでしょう。ラストに遂に目的を達した作家と、主人公の関係が(請求書に)良く現れているなーと思いました。
読後何となく、街の雑踏に故人となった同級生か、親戚を発見しそうな雰囲気を感じ、ぞっとしました。
『クルーエット夫妻の家』
ストーリー:
建築家の私が保存していた1880年代の家の建築設計図の通りに、新築の家を希望した若き富豪のクルーエット夫妻。腕利きの大工や職人達は仕事が気に入り、張り切って仕事を進めた。私も夢中になり、家は完成する。
無垢の権化のような、19世紀を再現した素晴らしい家に移ると、夫妻は外出をしなくなり、服装も当時のままに、優雅な古い暮らしを楽しむようになる。
感想:
あらすじは違えど、全体のイメージから、内田善美氏の漫画『星の時計のリデル』の世界を思い出しました。家には設計書の段階でも憑き纏うスピリット(これは神秘的であり、怪異やおどろおどろしさはない)があるのですね。
端折ってしまった他の併載小説も、ぜひ。
旭屋倶楽部の該当ページ
購入した旭屋書店の、全国店舗在庫が見られます↑
Amazonは、こちら。
(2011/04/26更新)
ジャック・フィニィ『盗まれた街』
侵略SFの名作。
映画化は1979年「SF/ボディスナッチャー」2007年「インベージョン」等
(劇場未公開ビデオ発売1956年「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」1993年「ボディ・スナッチャーズ」もあり)
他フィニィ原作の映画は、allcinemaに。
ブログ村、人気ブログランキング、blogramランキングに参加しています。
よろしければ一日一回のクリックをお願いしますm(__)m
ありがとうございます。
以前のブラッドベリもそうですが、短編小説(掌編も含めて)には、読者を虜にする魅力が詰まっているのだとつくづく感じました。但し、古今東西のどの短編もいいという訳ではなく、自分に合う作家や作品を、時間をかけて選ぶ必要はありますね。今回は本屋での偶然が引き寄せた縁に恵まれて、本当に良かったです。
今年は更新少な目でしたが、多くの閲覧・訪問を頂き、本当にありがとうございます。映画はDVD鑑賞やランダムなイベントが多く、映画館で観た感想が少なかったのが、残念です。
来年もよろしくお願い致します。
『大胆不敵な気球乗り』
ストーリー:
サンフランシスコ沿岸のマーチン郡に住むチャールズ・バーグは、ある日空を舞う鷹を見上げて、気球で空を上昇したいという強烈な感情のとりこになってしまった。百科事典にある気球の項目を読み、構造や操縦法を理解した。買ってきた布と身近な素材で気球を作り、湾岸を上昇する。降りるとき犬を散歩させていた近所のレニダス夫人に出くわすが、次回飛行する時に、彼女に懇願されて、夜間の気球飛行を一緒に楽しむようになる。
感想:
読後、映画『メアリー・ポピンズ』や、他の気球が出てくる作品を思い出してしまいました。
著者は勿論気球について入念に調べた上で、この短編を書いたのでしょうけど、本当にこのような飛行が可能なのか信じられません。うだつのあがらない主人公の男性の願望のような、幻想に満ちた作品に仕上がっています。
大人に童話めいた話を読み聞かせするのは躊躇しますが、悩める人の枕元で聞かせたいような…。
『おい、こっちをむけ!』
ストーリー:
サンフランシスコの新聞社で書評を担当しているピーター・マークス。彼は友人の売れない作家マックス・キンジェリーがもう亡くなっているのに、ミル・ヴァレーの街中を歩いているのを目撃していた。その時彼はイニシャルがついた派手なムギワラ帽子をかぶっていた。その後妻を伴って、再び彼を目撃した時の服装は、同じイニシャルがついた派手な上衣だった。町の人々もまた彼を目撃していた。
ピーターは、かつてマックスが住んでいた家に行ってみた。書きかけの古いタイプ用紙を見つけた彼は、妻と出かけたドライブの途中、大きく岩肌に書かれた彼のイニシャルを発見する。これは死んだマックスが、世間の目を向けさせるために、沈黙の叫び(「おい、こっちをむけ!」)をあげているのだと彼は思った。
その年の春にふたたび訪れた彼の墓に、すばらしい花崗岩の墓石が立っているのを見つける。表面には、マックス・キンジェリーと深く刻まれていた。墓地を出たところの仕事場にいた石工は、彼に頼まれたと告げ、請求書を差し出した。
感想:
本書で最も怪談の色彩が強い短編でした。
死者に出逢う恐怖感は、「ねじの回転」のヘンリー・ジェイムズに匹敵するかもしれません。この手の話を好む読書家なら、もっと比較に適した作家が該当するでしょう。ラストに遂に目的を達した作家と、主人公の関係が(請求書に)良く現れているなーと思いました。
読後何となく、街の雑踏に故人となった同級生か、親戚を発見しそうな雰囲気を感じ、ぞっとしました。
『クルーエット夫妻の家』
ストーリー:
建築家の私が保存していた1880年代の家の建築設計図の通りに、新築の家を希望した若き富豪のクルーエット夫妻。腕利きの大工や職人達は仕事が気に入り、張り切って仕事を進めた。私も夢中になり、家は完成する。
無垢の権化のような、19世紀を再現した素晴らしい家に移ると、夫妻は外出をしなくなり、服装も当時のままに、優雅な古い暮らしを楽しむようになる。
感想:
あらすじは違えど、全体のイメージから、内田善美氏の漫画『星の時計のリデル』の世界を思い出しました。家には設計書の段階でも憑き纏うスピリット(これは神秘的であり、怪異やおどろおどろしさはない)があるのですね。
端折ってしまった他の併載小説も、ぜひ。
旭屋倶楽部の該当ページ
購入した旭屋書店の、全国店舗在庫が見られます↑
Amazonは、こちら。
(2011/04/26更新)
ジャック・フィニィ『盗まれた街』
侵略SFの名作。
映画化は1979年「SF/ボディスナッチャー」2007年「インベージョン」等
(劇場未公開ビデオ発売1956年「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」1993年「ボディ・スナッチャーズ」もあり)
他フィニィ原作の映画は、allcinemaに。
ブログ村、人気ブログランキング、blogramランキングに参加しています。
よろしければ一日一回のクリックをお願いしますm(__)m
ありがとうございます。
以前のブラッドベリもそうですが、短編小説(掌編も含めて)には、読者を虜にする魅力が詰まっているのだとつくづく感じました。但し、古今東西のどの短編もいいという訳ではなく、自分に合う作家や作品を、時間をかけて選ぶ必要はありますね。今回は本屋での偶然が引き寄せた縁に恵まれて、本当に良かったです。
今年は更新少な目でしたが、多くの閲覧・訪問を頂き、本当にありがとうございます。映画はDVD鑑賞やランダムなイベントが多く、映画館で観た感想が少なかったのが、残念です。
来年もよろしくお願い致します。
ゲイルズバーグの春を愛す ハヤカワ文庫 FT 26 [文庫]
ジャック・フィニイ (著), 福島 正実 (翻訳)
全部で10の短編が収録されているジャック・フィニイのファンタジー集です。イリノイ州ゲイルズバーグで始まる、いずれもアメリカの平凡な街にまつわる不思議な物語。
どの短編も読み応え十分でしたが、今回は、ラストの「愛の手紙」について書きたいと思います。他編の感想は、本をテーマにした回にまた。
この本を開いて最初に読んだ短編が、この最後に収められている「愛の手紙」でした。
これは、日常使う眼鏡のごとく今を生きるには欠かせない、或る大切な人に捧げたい物語です。(ちなみにJ・フィニイも、彼も眼鏡愛用者です)
読むたびに、何故か涙がとまらない。
懐古趣味といえば、それまでですが。
主人公は、NYブルックリン在住の青年。
結婚を予定している女性との付き合いはあるが、どうも本気になれない。
あるとき、近所の古い邸宅にあった古風な机を古道具屋で購入する。
彼は机に付いている小仕切りや抽斗を探るうちに、隠し抽斗に仕舞われていた手紙を発見する。
NYの若き青年と古き佳き時代の婦人が古い郵便局と古風な机を通じて、時を超えて手紙を交換する、懐かしくファンタジィに満ちた物語です。
Amazonのレビュアーの方(湯島杢兵衛さん)がご指摘になっていた、英語の原作の一部を読んでみました。
http://homepage.mac.com/cssfan/jackfinney/sep590801016.htm
ヘレンの二度目の手紙にあった、(結びの挨拶であるmost sincerelyの前の)最後の言葉。
I remain,
これは、彼女の墓碑銘と照らし合わせてみるとよく理解できます。
結婚予定の人とは一緒にならず、結局独身を貫いたのですね。
訳者の故福島正実氏は、これをあえて訳さなかったのではと私なりに推測します。(結びの訳語である「心から〜」に含まれているのかもしれません)物語の最後の文章にある、"雨風にうたれたふるい石碑の表面に刻まれた碑文"の名前をどうか読んでくれ、と。
J・フィニイと訳者福島氏の心が沁みる、愛の短編です。
ブログ村、人気ブログランキング、blogramランキングに参加しています。
よろしければ一日一回のクリックをお願いしますm(__)m
ありがとうございます。
本書は、念願だったBRUTUSの映画監督特集号を店頭購入する際に、何か文庫本も、と思って一緒に買った一冊です。
邦版ならではの魅力溢れる、内田善美さんの表紙画にも惹かれました。
帰宅後生涯の一冊になった本に出逢えたことに感謝しました。慌しい本選びのわずかな一時でも自分の趣味嗜好は鋭く働くのだなー、と感心した次第です。
プロフィール
HN:
Kuroneko Tsuusin
性別:
非公開
カテゴリー
カレンダー
ブログ村ブログパーツ
忍者アクセス解析
SUZURI
能楽ダンディ
ステッカー